hakuhoudou.jpgのサムネール画像

 コマーシャルな分野のペーパーメディアにおいてもピクトグラムの利用は多岐にわたります。パンフ、ポスター、広報誌、DM、ハガキ、、など。電話や封筒ピクトなどお馴染のものから、新たにピクトグラム化する場合など、デザイナーによって対応も様々です。

    今回の紹介は、生ごみ処理機のカタログでの利用例です。カタログの最終頁「処理できるもの・できないもの」のアイテムとしてピクトグラムが使われています。図の色分けによって「できる・できない」がひと目でわかります。また各アイテム毎の個別性を出すために地の四角は丸く縁どられています。線画ピクトは面画の方が良いかもしれませんが、手元資料としては分かりやすく仕上がった例と言えます。

 初めて接する情報を、文字だけを頼りに得ようとするのは負荷が大きいものです。実感としては、年齢を重ねるほど大きくなりますし、義務的なものほどそうです。従って、知っておいて貰いたいという情報を提供する場合には技術的な工夫が求められます。たとえば、言語発達の途上である幼児にとっての絵本のごとく、大人でも絵画脳である右脳を情報入力の先導役として利用することで負荷を減らせます。ピクトグラムはそうした役割に適しています。可愛いイラストでは感情を喚起しますがピクトグラムは冷静に働くからです。カタログ作りにおいても、読み手を考慮した情報供給にひと役買うことができると言えます。

 

資料提供:博報堂プロダクツ 西絵美子氏 
カタログ:purpose.pdf

IAUD.gif 10月30日から11月3日までの5日間浜松市で第3回国際ユニヴァーサルデザイン会議が開催されました。会の代表、林は「ピクトグラムを利用した視覚シンボルコミュニケーションシステムの提言」という発表をしてきました。ピクトグラムがコミュニケーションシンボルのUDであることから、ピクトグラムを利用して世界共通の人工言語を作ろうというアイディアの提案です。

 過去にも、ブリス(1942)やLoCos(1971)といった視覚人工言語が提案されていて、それらは優れたシステムであったものの、PCやネットが生まれる前のアナログ時代であったこともあって普及には至りませんでした。ピクトグラムシンボルは最も言語に近い「絵」であるため視覚シンボルとして言語のもつ役割を果たすことができると考えられます。「現代のデジタル革命はそれを可能にしうるのではないか」、、そうした背景から国際UD会議での提案に至ったわけです。これは、UDを提唱したロナルド・メイスの「誰もが利用できるデザインをもの(こと)作りに生かす」という想いを「コミュニケーション」に当てはめた時のシステムとしても有効であると考えます。何よりも、先ずは言語にハンディを持つ人々に基準を置いたコミュニケーションシステムであるからです。


国際ユニヴァァーサルデザイン会議 in Hamamatus HP http://www.ud2010.net/index.jp.html

kanagawa_jinnkenn.JPGのサムネール画像 ピクトグラムの会に神奈川県教育委員会より高校用の副教材「人権学習ワークシート集」が届きました。「人権とは何か」を考えさせるきっかけのひとつとしてピクトグラムが取り上げられています。「すべての人々の人権」といったときの「すべて」の中に積極的に「ことばにハンディをもつ人々」を入れたということであり、そうした人々が利用できるコミュニケーション方法を知ろうということのようです。そうした人々の立場に立つ想像力、彼らとのコミュニケーション能力を培うことが今の時代は求められるということでしょうか。教材は「異文化を体験しよう」「コミュニケーションを考えてみよう」・・・「ことばの壁」「共生を考える」までの10章があり、それらは直接的ではなく「人権」という硬いテーマを取り囲んでいる材料を提示して触れ合うぐらいのところで考えさせてくれます。

 おそらく、子どもへの差別や人権に関する教育でもっとも大切なこととは「触れ合う」ということでしょう。たとえば障害のある子とない子が同じ空間、学校敷地内で学ぶことで日常的な交流が生まれ、自分の肌で、ことばが不自由とはどういうことかが感じられるはずです。そうした経験は幼ければ幼いほど良いのではないかと思われます。このワークシートが、そのような触れ合いの機会を増やす一助となれば良いですね。

 

資料提供:神奈川県教育委員会 三ツ堀氏

かながわの教育HP:http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/40/4020/index.html

 

                                                               jisEkigo_gaiji.JPGのサムネール画像 コミュニケーション支援用絵記号のフォントを作成、公開しているサイトを紹介します。「外字神社」というサイトで、通常パソコンで表示できない難しい漢字や文字、記号をフォント化して無償でダウンロード可としています。ワープロソフトではジャストシステムズの一太郎がJIS絵記号を搭載していましたが、これで、PCにインストールする必要がありますが、マイクロソフトのWordをはじめ、ソフトの種類を問わずに簡単に絵記号を利用することができるようになりました。文字と簡単に併用できますので、大きな進歩ですね。
 利用方法は、フォントをコントロールパネルのフォントフォルダへインストール(Windows)すると,IMEパッドの記号フォルダに下の画像のような一覧がでますので、ダブルクリックで挿入し、利用しているソフトのファイルメニューでサイズなどを選ぶだけです。ちなみに「外字神社」では一般案内用図記号なども配布しています。

外字神社HP:http://gaiji.info/pictgram/download/124-communication-dingbat-fonts.html

jisEkigo_font.JPG
yoiko02.jpgのサムネール画像 学研の「よいこのがくしゅう」(9月号)<4、5歳向け>が特集「このしるしなあに」を組み、街中の交通標識やおもちゃやアイロンなどに付いている様々なマーク、絵記号を紹介しています。冊子のページには、JIS絵記号とPICシンボルの中から、16個を取り上げて絵カードとして切り取って使って遊べるようにしています(左写真)。これは自閉症のためのPECS(The Picture Exchange Communication System)と同じ方法を使った、健常な子供への体験学習でもあります。
 幼い頃より、街中や製品などで目にする様々なマークやシンボル。知らず知らずのうちに社会ルールとして学習して行く時代となりました。同様に、コミュニケーション支援のための絵記号、シンボルも、幼い頃から目にすることで当たり前と感じてもらえ、人々の間に自然に定着して行くことが必要であり、言葉にハンディのある人々にとって暮し易い社会の実現のためのひとつの方法です。そして、ピクトグラムシンボルはその目的にぴったりなシンボルです。
 小学校で「ハンディキャップ」等についてどれだけ教えているか知りませんが、是非、社会科の教科書に一覧でJIS絵記号を載せて学習をしてもらいたいと考えます。きっと楽しいと思います。


資料提供:学研 幼児・児童書出版事業部 米沢元吾氏
学研HP:http://www.gakken.co.jp/yoji/ehon/02_yoiko.html

mobility02.jpg  交通エコロジー・モビリティ財団が駅や案内など交通空間でのバリアフリー化を目的に「コミュニケーション支援ボード」を作成しました。下記サイトよりダウンロード(PDF)ができます。使われているピクトグラムはコミュニケーション支援用絵記号(JIST0103)と案内用図記号(JISZ8210)および「迷子」など新規に作成されたものが数点、計40個ほどです。案内所に置けるB5リンクタイプや駅員さん、案内係、個人が持運べるA6タイプが用意されています。6穴のバイブルサイズもあれば良かったですね。ホームページからは「使い方」の説明ファイルもあり、いつ使うか、利用の際の基本姿勢、障害のある方への接し方など注意事項も盛り込んであります。

 ヨーロッパにおいて、言語の異なる国々を結ぶ交通機関の発達とともにサインとしてピクトグラムも発達してきたことは良く知られていますが、これは一方向のコミュニケーションサインです。交通エコロジー・モビリティ財団のこの取り組みは、個々の双方向型コミュニケーション援助という次のステップへ上ったことを窺わせます。様々な国々の人々、言語障害をもつ人々、多種多様な方々の最低限のコミュニケーションを補助、援助する手段として普及して行くことを期待します。


交通エコロジー・モビリティ財団HP:http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/comboard/comboard_top.html

manabi.jpg 都立港養護学校が学習環境作りに写真やピクトグラム・サインを利用しています。校長室や教室などをピクトグラムでサイン化、また写真も利用し、自閉症児のための「構造化」と言われる手法と連携させた教育が行われています。 

 自閉症、知的障害など発達障害のある子供達への視覚シンボルの有効性は実証されてきました。ちなみに写真をシンボルとして利用するには概念化の能力を必要とし、反対にピクトグラムのような絵のシンボルは概念化を支援します。校長室のサインとして写真を使うと貼り変えが必要ですが、ピクトグラムシンボルであれば不要かもしれません。さらに、コミュニケーションボードにも使えますのでサインとの相乗的な学習効果が期待できます。絵の視覚シンボルは多種あり、ピクトグラムシンボルもその一つですが、他と異なる利点の一つにサインと共用化が図れるということがあります。

 多くの養護学校が同様な手法を取っています。惜しむらくは、先生方によって利用する視覚シンボルが違うことです。スウェーデンではピクトグラムシンボル(PIC)の利用が国によって行われています。日本はここでも市場原理が働いているようです。UD(ユニバーサルデザイン)の思想からも言えることですが、社会全体でのサービスや効果という視点からは統一された方が良いと思われます。JISコミュニケーション絵記号はその第一歩です。

学びの場.com HP:

http://www.manabinoba.com/index.cfm/4,8727,76,html

JISコミュニケーション支援絵記号のダウンロード(共用品推進機構)HP:

http://www.kyoyohin.org/06_accessible/060100_jis.php


 
バリアフリーやユニバーサル・デザインの取り組みの中で、市民が高齢者やお身体の不自由な方のことを理解して、心遣いや協力をすることを「心のバリアフリー」といいます(網走市社会福利協議会HPより)。市の社会福祉協議会では、講演やホームページを通じてこうした啓蒙活動を行っているようです。JIS絵記号を使ったコミュニケーションも紹介されています。目に見える建物や制度などのバリアとは違って、これからは、気付きにくいバリアについて知ってもらう活動が必要なことから生まれた活動です。ここでもハードからソフトへの転換が求められていると言えます。

 絵記号を使ったコミュニケーションは回りの人が差し出して、本人に指差してもらうという「レストラン・メニュー方式」です。ちょっとした気遣いと待つことなどが求められます。そこで初めてコミュニケーションが成立し、他人(社会)との接点が生まれます。全国の社会福祉協議会に網走市のような啓蒙活動が伝播することを願います。

 

網走市社会福祉協議会HP:http://www6.ocn.ne.jp/~oconcolo/kokoro.html

 

hagi_city01.jpg 山口県萩市の総務部で発行する「しみん便利帳」(2008年版)でJIS絵記号が利用されています。広報課よりサンプルを送っていただきましたので紹介します。絵記号は目次のページと各ページのインデックスとして利用されています。例えば「病院#402003」シンボルは【救急担当医・防災・交通安全】の項目に対応、「赤ちゃん#101006」は【子育て・教育】という具合に、本来の語彙とは違ってイメージ的な利用がされています。

 主情報が文字主体の場合はピクトグラムは背景、また黒子として機能しますので、このように見出しに添える絵として全く違和感がありません。

 萩市の「べんり帳」は表紙もとてもシンプルですが、中身も構成やレイアウト、色での区分など、シンプルで大変分かりやすい内容になっています。例えばコラムなどの余計なものは載せてありません。電話帳などで情報が多すぎて肝心な情報を中々探し出せないということがありますが、この便利帳などUD的な作りと言えます。老若男女、障害ももつ人、他様々な人が利用する市民便利帳として見本のようです。

 

 

目次写真:http://pic-com.jp/hagi_city02.htm
資料提供:萩市役所 総務部広報課 池部公恵氏

 

 全国銀行協会が「コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)」と「案内用図記号(JIS Z 8210)」に沿った窓口用のコミュニケーションボードを1月に公表しました。言語障害者、外国人等のためのソフト面のバリアーフリー化を促進するとしています。ひとつの業界での取り組みとしてはおそらく日本初の試みです。絵記号やピクトグラムが双方向のコミュニケーション手段として一般社会に認知されるための一歩であり、大変に意義ある取り組みと言えます。

 これが役立つためには、窓口で説明をする行員の方が、相手の表情を見て利用することが重要です。言語障害の方が一人で窓口に来ることは実際にはありません。しかし、援助者に話すだけでなく、ボードを手に持って指指し(ポインティング)しながら説明をすることが大切であり、それだけでも当事者は安心をするでしょう。そのような利用が望まれます。

 ボードは協会員以外でも申請によって利用が可能となっています。


全国銀行協会HP: http://www.zenginkyo.or.jp/news/2008/01/22160000.html
コミュニケーションボード:http://www.zenginkyo.or.jp/abstract/efforts/csr/bar_free/cmark/index/cboard01.pdf
http://www.zenginkyo.or.jp/abstract/efforts/csr/bar_free/cmark/index/cboard02.pdf